転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「ですが、ご安心ください! 聖女シエルは私の手で、必ず始末してみせます……!」

 その間にも、瞳を爛々と輝かせた男は私の殺害を宣言した。

 ディルクさんの指示を受けた侍女は頭を下げると出口へ向かい、慌ただしく走り去っていく。
 その姿を目にして我に返ってもおかしくなかったのに――司祭はまったく気にする様子もなく、短い沈黙のあとに顔色を変えた。

「今、なんと仰ったのですか? 聖女シエルより、私のほうが罪深いと?」

 この場にいる人々は誰1人、質問などしていなかった。
 しかし聖職者には私達には聞こえぬ神の声が聞こえているようだ。
 青白い顔で絶望の表情を露わにすると、見えない何かに向かって叫ぶ。

「罰を受ける必要が、どこにあるのですか!? 私は正直に、すべてをお話いたしました! それはあなたが、この地を統べる神だからです!」

 神様なんて、この場にはいないのに……。
 あの人は一体、誰と話をしているの……?

 私は得体のしれぬ恐怖をいだきながら、呆然と司祭の言葉を聞いているしかない。
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