転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 司祭の衝撃的な発言を聞いたこの場にいた誰もが、耳を疑う。
 それは私も、例外ではなかった。

「聖女シエルだけに神獣が懐き、言うことを聞くなど人々に知られたら……。私の罪が白日の下に晒されてしまうではありませんか。それだけは絶対に、避けなければなりません」

 一体、何が起きているの?
 この場にいる誰もが思考を停止させている間にも、男の自供は続く。

「これは神殿と関わりの深い貴族たちにも影響が及ぶ、根深い問題ですので……」

 私は意地汚い笑みを浮かべて微笑んだ司祭の姿を見ているのすらも嫌になって、隣に座るディルクさんの表情を確認する。
 彼はこちらと視線を交わらせることなく、聖職者に怪訝な目線を向け続けた。

「高貴なる生まれの娘は結婚する際、清らかな乙女である証明が必要です。20歳を迎えて貴族に嫁いだ娘たちが全員、純潔の証を偽装しているなんて知られたら――離縁は免れません。露頭に迷う元聖女が、山程出るでしょうね」

 ディルクさんは司祭の口にした衝撃的な発言を聞き、壁際に控えていた侍女を手招きして呼び出す。
 その後、何かを囁く。
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