転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「ユニーン?」

 神獣は「僕の角で突いてやろうか?」と問いかけているように聞こえる。
 私は首を左右に振り、その気持ちだけ受け取っておこうと決めた。

「食事のご用意が整っております。こちらで、召し上がりますか」
「あ、はい……」

 ユニコーンがいるだけ、まだマシだけれど……。
 彼女と1対1の時間は、いつだって緊張してしまう。
 こちらから話しかけて、仲良くならなくちゃ。
 そう、思うのに。

 失敗してリルマさんの機嫌を損ねた結果、何か酷いことを言われたらどうしようと不安になり、震えが止まらなかった。

「お嬢様? どうされました? なんだか、顔色が……」
「ユニッ。ユーニィ!」

 侍女は私の目の前まで食事を運んできたあと、こちらを心配してくれた。
 加害しようなんて思っていない。
 そう、よくわかっているはずなのに──私の不安を感じ取った神獣は、「近づかないで」と彼女を拒絶した。

「待って。いいの」
「ユニィ?」

 ユニコーンはまさか私が待ったをかけるなど、思いもしなかったのだろう。
 不思議そうな鳴き声を上げて、リルマさんに対する敵意を霧散させる。
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