転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「ひでぇ奴。オレには、カルトンって名前があるんだぜ?」

 彼女は口を挟んできたカルトンさんのおどけた声を不愉快そうに聞いたあと、眉を顰めて淡々と語る。

「シエル様のお気持ちは、ありがたく頂戴いたします。しかし、私は……自分で言うのもおかしな話ですが、口下手なのです」
「私と、一緒ですね。誰かとお話するのは、得意じゃなくて……」
「ですから、緩衝材としてあれを間に挟みましょう。会話が続かず気まずい思いをしても、なんとかしてくださいます」

 護衛騎士を頼るのは心底嫌だというオーラが全身から滲み出ていた。
しかし、彼を挟めば雑談の許可を得られたことは、私にとって大きな進歩だ。

「オレかよ」

 この機会を逃すわけにはいかず、あまり気乗りしていない様子を見せるカルトンさんに頼み込む。

「私からも、お願いできないでしょうか……?」
「あー。嬢ちゃんの頼みを断ったら、絶対殿下がうるせぇもんな……」

 彼はしばらく悩む素振りを見せていたが、最終的には私達の会話に参加してくれることになった。
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