転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 ――あの子に奪われて溜まるものか。

 そんな強い思いを抱いて筆を走らせたせいで、だんだんと私の絵を眺めて感動していた人々の心が、ノエルに対する憎悪で1つになっていく。

「大聖女様を騙った不届き者!」
「騎士様! 今すぐ追い出してください!」

 他者から悪意を向けられたことがない妹にとって、誰も味方になってくれない今の状況は、屈辱的なのだろう。
 ぷるぷると手を震わせた彼女はボキリと音を立てて、筆を真っ二つに折る。
 その後勢いよく立ち上がり、地団駄を踏んだ。

「こんなの全部、何かの間違いに決まってる!」
「これほどたくさんの証人がいるのに……。まだシエルから、功績を奪い取ろうとも目論むつもりか」
「なんでいつも、邪魔するのよ! あんたと同じ名前の女から何もかも奪ってやるまで、あたしがどれほど苦労したと思っているの!?」

 民衆とディルクさんの厳しい目線を一身に受けた彼女は、ついに自身の罪を告白した。

「生まれ変わっても、またシエルに邪魔されるなんてありえない! いつも私よりも先に生まれて、幸せそうに笑ってる! あたしはあんたが大嫌い!」
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