転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 ユニコーンが私の元へ戻り、興奮した様子で「早くあの女を蹴散らしてやりたい」と伝えるように鳴き声を上げる姿を耳にしたからだろう。

「暴れるな! 大人しくしろ!」
「いや! 離して……!」

 彼女を再び拘束した騎士団の人々に向かって、低い声で宣言した。

「ノエル・べサリオ公爵令嬢は、俺の婚約者が己の力で手に入れた輝かしい功績を、横取りしようとした。その罪は重い。連れて行け」
「はっ」

 ディルクさんは部下に命じると、妹は個展会場から引きずり出されて行った。

「姉の物を奪って、何が悪いのよ!? シエルはあたしに、何もかもを捧げるべきなの! だって、姉妹ってそういう物でしょ!?」

 ノエルは周りの迷惑も顧みず怒鳴り散らしていたが、彼女の主張を耳にして助け船を出すような人々は存在しない。

「べサリオ公爵家の上のお嬢さんは大聖女として立派に育ったのに……。下のお嬢さんは、残念ね……」
「べサリオ公爵家の乳母って、ほら……」
「ああ……。だからか……。上のご令嬢は、良縁だけではなく環境にも恵まれたな……」
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