転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
 人の迷惑を顧みず喚き散らしながら退場していくあの子の姿を横目に、個展を見に来た人々は時折自分に対しても失礼な噂話を繰り広げたかに思われた。
 しかしよくよく聞いてみれば、それはすべて彼女を卑下するものだった。

 姉妹を見比べたあと、姉である私を称賛する声で……。

 ――前世と立場が、逆転した瞬間だった。

 それにこの上ない喜びを感じるほど、私の性格は歪んでいない。
 これからあの子は、どうなってしまうのだろう。
 そうした気持ちの方が大きいからだ。

「大聖女様は素晴らしい絵をお描きになるだけではなく、心すらも清らかなのね!」
「あのような酷い言葉を投げかけられても、動じることなくその場に佇む勇敢な姿……。わたくし、とても感銘を受けましたわ」
「これはみんなに知らせないと!」
「大聖女様、万歳!」

 私を称賛する声を聞いているだけで、だんだんと気分が悪くなってきた。
 あの子は私に酷いことをした。
 でも、見ず知らずの人々にここまで言われる筋合いはない――。
 そう、強く思ったからだ。

「ユーニィ……」
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