転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
画家達の秘密(ディルク)
「あの子が、許嫁だ。よく、顔を覚えておきなさい」
あれは一体、何年前のことだったかーー。
ぱっと思い出すことすらも困難なほど長い時が過ぎているのに愕然としながら、俺が7歳、彼女が5歳の時に見た光景を思い出す。
父に促され、遠巻きに公爵令嬢の姿を見た。
「何故、こんなに遠くから……」
「まだ、本決まりではない。あいつの即位が無事に終わったあと、改めて紹介する。だから、今は待ってほしい」
父は他所のご令嬢を巻き込み、兄弟で王権争いが起きるのを避けたかったのだろう。
「わかった」
俺は両親に向かって笑顔を向ける少女に一目惚れし、今すぐに面と向かって話をしたい気持ちでいっぱいだった。
だが、国王の命令には逆らえない。
渋々、彼女の成長を遠くで見守ろうと決めた。
まさかこれが、両親とともにいる許嫁の姿を目にした最後の機会になるなど、思いもせずに。
「君の許嫁は、聖女に選ばれた。王弟妃にはふさわしくない」
大人達は勝手だ。
待てと命じられたからじっとしていたのに、今度はそのせいで彼女と結婚できなくなったと言うのだから。
あれは一体、何年前のことだったかーー。
ぱっと思い出すことすらも困難なほど長い時が過ぎているのに愕然としながら、俺が7歳、彼女が5歳の時に見た光景を思い出す。
父に促され、遠巻きに公爵令嬢の姿を見た。
「何故、こんなに遠くから……」
「まだ、本決まりではない。あいつの即位が無事に終わったあと、改めて紹介する。だから、今は待ってほしい」
父は他所のご令嬢を巻き込み、兄弟で王権争いが起きるのを避けたかったのだろう。
「わかった」
俺は両親に向かって笑顔を向ける少女に一目惚れし、今すぐに面と向かって話をしたい気持ちでいっぱいだった。
だが、国王の命令には逆らえない。
渋々、彼女の成長を遠くで見守ろうと決めた。
まさかこれが、両親とともにいる許嫁の姿を目にした最後の機会になるなど、思いもせずに。
「君の許嫁は、聖女に選ばれた。王弟妃にはふさわしくない」
大人達は勝手だ。
待てと命じられたからじっとしていたのに、今度はそのせいで彼女と結婚できなくなったと言うのだから。