転生聖女は、ユニコーンと逃げ出した
「いつから」
「お嬢ちゃんが泣きながら帰ってきたあと、ずっとだよ。もう、1週間だ。飲まず食わずで、どんな様子かもわかんねぇ」
「そんな状態で、放っておいたのか!?」
「仕方ねぇだろ!? こっちだって、状況がわかんねぇんだから! どうしたら、こんなことになるんだよ……。気分が盛り上がって、無理やりどうこうしようと思ったんじゃねぇだろうな……」

 シエルと出会うまでは女の影など一切なかったことを知っている幼馴染の発言とは到底思えぬ下劣な発言を受け、頭をかかえる。
 これはじっくりと、話し合う必要がありそうだ。
 俺は唇を噛みしめることで苛立ちをぐっと押さえ込み、身の潔白を証明するためにはっきりと宣言した。

「俺は何もしていない」
「ほんとかよ」
「シエルの妹に、言い寄られただけだ。彼女はあの女を目にした瞬間、逃げ出した」
「それで、妹との結婚がどうとか言ってたのか……」

 内容の擦り合せを終えた彼は、ようやく合点がいったとばかりに俺を止めていた手をゆっくりと離した。
 
 あとは、勝手にしろとでも言うつもりなのかもしれない。
 真意を探るように無言で睨みつけていれば、彼は肩を竦めながら言葉を吐き出した。
< 91 / 249 >

この作品をシェア

pagetop