さよなら、ブルートレイン
 推薦で、早くに都内の大学への進学が決まると、私は気を抜き、手も抜く日々。
 成績も一気に下がり、担任には、
「早くに合格したからって、あまり気を抜きすぎないでよ?学校同士の信頼関係の上で成り立つ推薦なんですから」
 と言われる始末。

 家では、両親は相変わらず、毎日、毎晩、大喧嘩。
 だからいつも、音楽のボリュームを上げ、罵声が聞こえないようにする。
 こんな家も、こんなクソ田舎も、早く離れたい。
 もう、それしか頭にない。

 やっとのことで卒業式。
 この三年は、やけに長く感じられた。
 思い出のひとつもないままに。
 式が終わったあとは、誰かと別れを惜しむでもなく、さっさと帰った。
 早く荷造りを済ませ、一日も早く上京しよう。
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