届けたい音、届かない想い~The sound I want to deliver, the feelings that cannot reach.~
家に帰ると、制服のままベットにダイブした。

今日の部活を振り返りながら、なんとなくインスタを開く。

最新投稿に目が留まった。

《今日の部活も楽しかった!夕日がきれいだったよーー》


と綴っている文字と、オーボエを抱えた心華の部屋着姿。

顔は隠してあるが、彼女らしさがあふれている。

プライバシー保護もしっかりしていてさすがだなと思う。

その明るさにうらやましさを感じた。

それに、楽器、、いいな。

目に引いたのは楽器を持っている姿。

自分の楽器を持っているっていいなと思った。

私は、学校の楽器を借りて使っている。

別に本気でやるわけでもないし、大体は、学校のを使う。

借り物でも、ちゃんと私の音は出せる。

誰かが聞いてくれて、ちゃんと感想を言ってくれた。

私はスマホを置いて、ベットの上に寝転がった。

天井を見つめながら合奏を思い出す。

誰かの音を聞いて、支えて、重なる。

「もっと吹いてみたいな、、。」

ぽつりとつぶやいた言葉は、誰にも聞かれることはなく吸収された。

私は、起き上がって学校のリュックをあさり、楽譜を取り出す。

まだうまく吹けないところもあるけど、少しづつ読めるようになってきた。

初めは、読めなかったし、実音がB♭っていうやつでドの音を吹いたら、シ♭の音が鳴るらしくて、とても戸惑った。

私は、楽譜と一緒に持ち歩いているノートを取り出す。

×月×日
《今日の合奏も楽しかった。最近吹奏楽楽しくなってきたかも。それに、先生に褒められて最高の一日!》

最近は、一行日記くらいの短い日記を書いている。

誰にも見せられない、私だけの記録。
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