「好き」があふれて止まらない!
わたしと我妻くんのルーズリーフ
今日はわたしにとって大事な結果発表がある日。
「十三時まであとちょっと⋯⋯!」
スマホに表示されていた時間が【12:59】から【13:00】に切り替わった瞬間、とあるサイトへアクセスした。
ページを読み込んでいる間も心臓はドクドクと音を立てていて、今にも口から飛び出してしまいそうな勢いだ。
「⋯⋯今回こそは!」
祈るような気持ちで画面をスクロールしたけれど、そこにわたしの名前はなかった。
比高咲茉、中学二年生。
小説家志望のわたしは、たった今、十三回目の選外を経験したところだ。
「まただめだった⋯⋯」
画面いっぱいに開かれたままの『中学生の青春小説大賞』のページを閉じて、スマホをポケットの中へとしまう。
子供の頃から本を読むことが大好きだったわたしは、中学生になってから公募やコンテストに応募するようになった。
けれど、今まで一度も賞を取れたことはない。
選外を経験するたびに自分が面白いと思うものを否定されたような気持ちになる。
まだ十三回、だけどもう十三回。
同い年の子たちが結果を残すたびに焦ってしまう。
わたしだけが置いていかれるんじゃないかって。
そのせいか、最近はどんな小説なら受賞できるのかということばかりを考えて、自分の“好き”を見失いかけている気がする。
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