「好き」があふれて止まらない!
「でも、書かないと始まらないよね」
落ち込んでいる暇はない。
今はお昼休み。次の授業が始まるまであと十五分はある。
次のコンテストに出す小説を少しでも進めないと。
わたしは階段に腰を下ろしてルーズリーフに物語の続きを書きはじめた。
やっぱり静かな場所は筆が進む。
真っ白だったルーズリーフを二ページ分埋めたところで時間を確認すると、五限の授業開始まであと七分しかなかった。
わたしが今いる旧校舎から本校舎までは歩いて五分はかかる。
そろそろ戻らないと。
小さなため息をひとつこぼして、ルーズリーフをクリアファイルの中へとしまった。
「休み時間ってどうしてこんなにも短いんだろう」
授業を受けているときよりも、時間が二倍速に感じる。
それに次の授業が苦手な英語だと思うと、余計に気が乗らない。
けれど、サボる度胸なんてないわたしは鉛のように重い足で教室へと向かうことにした。
忘れ物がないか最後にもう一度チェックしてから階段を下りはじめたそのとき──。
「……誰かいるのか?」
下の階から男の子の声が聞こえて、階段を大きく踏み外してしまった。