「好き」があふれて止まらない!

「何度も言ったけどわたしには⋯⋯」

わたしが「できない」と言うよりも先に我妻くんが口を開いた。

「俺も簡単には諦められないから一度チャンスをくれないか?」

「チャンスって⋯⋯?」

「今日の放課後、俺らの曲を聴きに来てよ。そのあと、もう一度返事を聞かせてほしい」

何があってもわたしの答えは変わらない。

でも、このままだと話は平行線のまま進まないし、曲を聴くだけなら⋯⋯。

「わかった」

わたしが我妻くんの提案を受け入れると、目の前の薄くて綺麗な唇が弧を描いた。

「ありがとう、比高。じゃあ、放課後」

「うん」

階段を二段飛ばしで下りていった我妻くんは「約束な」と最後に念を押してから去っていった。

「なんだか嵐みたいな一日だよ⋯⋯」

この約束が未来に大きな変化をもたらすことを中二のわたしたちはまだ知らなかった。


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