「好き」があふれて止まらない!
「ごめんごめん。あまりにも珍しい光景だったからつい。驚いた顔をしてごめんね。はじめまして、三年の二階堂千里です」
突然お邪魔したわたしににっこりと微笑んでくれる二階堂先輩。
優しそうな人というイメージはどうやら間違ってなかったみたい。
「わたしは我妻くんと同じクラスの比高咲茉です。今日は急にお邪魔してすみません」
わたしも慌てて自己紹介をしてから頭を下げる。
「なんだよ。その肩苦しい挨拶は」
「そうそう。ゆるくでいいよ、ゆるくで。さぁさぁ座って」
そう言いながら近くにあったイスを運んできてくれたのは杉浦くん。
明るい茶色の髪に、きれいなアーモンドアイの瞳が特徴的。
人なつこい性格で誰とでも仲良くなれるタイプみたい。
教室にいると彼の笑い声がよく耳に入ってくる。
「奏人からお客さんを連れてくるって聞いてたけど、比高だったんだな」
「歌詞を書けそうな奴がいるって話しただろ。それが比高」
「なんで比高?」
杉浦くんが疑問に思うのも無理はない。
わたしに歌詞を書けそうな要素なんてひとつもないんだもん。