温泉街を繋ぐ橋の上で涙を流していたら老舗旅館の若旦那に溺愛されました~世を儚むわけあり女と勘違いされた3分間が私の運命を変えた~
 もうあの部屋には戻らない。決意は変わらない。

 仕事に穴を空けるのは申し訳ないと思ったけど、上司に打ち明けたら、ひとまず有給を使って骨休めをしてこいといわれた。
 それから、社員寮もあるから遠慮はするなとも。

 その優しさに涙が出た。
 でも、私の働くヴェリテホールディングスはウェディング業界一の会社だ。横浜生まれ横浜育ちなら、誰だってヴェリテで式を挙げたいって思うだろう。

 美琴もヴェリテで挙式がしたいっていってた。

 私たちのベッドで真っ青になっていた美琴の顔を思いだし、胸が苦しくなる。

 どうしてって尋ねても、二人は謝るだけだった。
 謝れば浮気をしていいの?
 親友の恋人を、ごめんねの一言で寝とるとか、普通ないんじゃない?

 ひとしきり喚いて怒鳴って、それでも、二人は謝るだけで……もう、彼の心が私にないのだと感じた。だから、あのマンションを飛び出した。

 もう、あの場所に帰るなんて選択肢はない。

 それに、二人がヴェリテで式を挙げることになったら……耐えられない。
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