白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
私は自分の震えを抑える事ができなかった。

「確かにミスかもしれません。でも可能性が1割なら、リスクを恐れず立ち向かうべきだ。」

「あのね。ピアニストが音を外す確率、知ってる?」

私は渡部先生を睨みつけた。

「プロでも、5%以下よ!100人いて、5人以下!1割ミスするなんて、余程体調不良じゃない限り、あり得ない!」

そうよ。プロなら、ミスするなんてあり得ない。

「手術を受けないつもりですか。」

「100%、後遺症はないって言いきれたら受けるわ。」

「それこそあり得ない。約束できません。」

私は、布団の中に潜った。

「天音さん、聞いて下さい。今はまだ命に余裕があります。けれど、このまま腫瘍が成長すれば――一年もたないかもしれません。」

「死ぬって事?私、死ぬって事?」

渡部先生は、布団をめくって私の顔を覗きこんだ。
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