白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「最新鋭のロボティクアームです。通常脳の手術には、手振れが敵ですが、ダヴィンチにはそれがほぼありません。」

「……それを使って頂けるんですか。」

お母さんは震える声で言った。

「後遺症が残る可能性は、圧倒的に低くなります。」

うんとお母さんは、頷いた。

「先生、ありがとうございます。」

そしてお父さんは、俺に頭を下げた。

「いえ。それは手術が終わってからにしましょう。まずは娘さんを励ましてあげてください。」

俺はそう言って、ご両親の前を後にした。

手術の準備室に入ると、里奈さんが俺を待っていた。

「どんな気持ち?彼女のご両親に会うのって。」

「緊張したよ。」

俺は里奈さんの隣に立った。

「でも俺はその前に、執刀医だ。冷静に手術の説明をしただけだよ。」
< 156 / 298 >

この作品をシェア

pagetop