白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
うんと私は頷く。

「ありがとう、美玖。俺に新たな人生をくれて。」

私は今度は、ううんと首を横に振った。

「感謝するのは、私の方。人生を貰ったのも、私の方よ。」

悠真先生の目から、涙が一粒零れた。

「ああ、美玖。」

「なあに?」

私は悠真先生の涙を、右手の指で拭った。

「君に出会えたこと、俺は神に感謝したい。」

私の口元が、微かに震えた。

涙を抑えきれなかった。

「私、悠真先生に出会えてなかったら、人生の生きる意味を失っていた。」

「美玖……」

「恋なんて愚かだと思っていた私に、悠真先生は恋こそが人生を輝かせる唯一のものだって、教えてくれた。」

今まで、本当は恋愛をしたかった。

でも、ピアニストになる為に我慢してきた。

そう。私は恋を、我慢していたのだ。
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