白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
本当は、誰かと燃えるような恋がしたかった。

この人に出会う為に生まれて来たと、思えるような情熱的な恋。

そして私は巡り合った。

この渡部悠真という人に。

「悠真先生。」

「うん。」

「私は必ず、ピアニストに戻ってみせる。」

それは静かな私の決意でもあった。

「復帰コンサート、誰でもない悠真先生の為に弾きたい。」

悠真先生は、うんと大きく頷いてくれた。

「必ず行くから。」

それは私達の、心からの約束だった。

それからの私は、ロールピアノを使ってピアノの練習に明け暮れた。

右手を使って弾き、左手を使って弾き、両手を使って弾く。

それは確実に、ピアニストへの復帰を意味していた。

「弾ける。私は弾ける。」

迷いはなかった。私の中にピアニストとしての血が、戻って来た。


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