白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「黒川先生は、渡部先生と天音さんの関係に、気づいてましたか?」

院長の言葉に、黒川先生の目が光る。

「何となくですけどね。彼の情熱は、仕事の信念を超えてましたから。」

「だとしたら、執刀医を渡部先生に任せるべきではなかったのでは?」

副院長は、尚も追及する。

「一般的に恋愛感情を持った患者に、冷静な判断ができない医師は存在します。もし、それを承知だとしたら、他の医師に執刀医を任せるべきだったのは?」

副院長の言葉は、どこまでも正論だ。

まずい。俺を庇ってくれたせいで、黒川先生が責められている。

「天音美玖さんのオペは、前例のないダ・ヴィンチ手術支援システムを使って行われました。それは渡部先生しか成しえないオペでした。他の医師に執刀医を任せる選択はありませんでした。」
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