白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
副院長も院長も何も言えず、沈黙する。

会議の最後、黒川先生が静かに立ち上がった。

「もういいでしょう。俺は、彼を責められません。」

「黒川先生……」

俺は黒川先生を見つめた。

「どんな倫理書にも、“人を愛するな”とは書いていません。」

その一言で、場が静まり返る。

そのあとに、院長がゆっくりと告げる。

「確かに。今回の件は、罰則に値しない。」

だが副院長がまたも、追い打ちをかけた。

「ですがね。行為があったという事は、耐え難い事実ですよ。」

副院長は書類をまた捲る。

「資料には、渡部先生は複数回行為に及んだとなっています。そんな医師を、患者の傍に置けない。」

俺はハッとして、副院長の前に来た。

「なぜそれを知っている?」
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