白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「まあ、本人同士が真面目に付き合ってるなら、誰も何も言わないけれど。バレたら、脳外科医としての地位は落ちるよね。」
「えっ……」
私は坂井先生の顔を見た。彼は能天気に、こう告げた。
「脳外科医って、一つ一つキャリアを積んでいかなきゃならないのに、元患者と付き合っているってだけで、キャリアがなかった事にされるんだよな。」
私は電子ピアノの鍵盤を、ポーンと叩いた。
翌日も、その翌日も。
私は悠真先生のお迎えをすっぽかした。
たまりかねて、悠真先生が家のインターフォンを鳴らす。
「はい。」
お母さんの声がする。
「あの、美玖さん。家に帰っていますか?」
「待って下さいね。」
お母さんが階段を昇る音がする。
それが心臓の音と、重なり合った。
「えっ……」
私は坂井先生の顔を見た。彼は能天気に、こう告げた。
「脳外科医って、一つ一つキャリアを積んでいかなきゃならないのに、元患者と付き合っているってだけで、キャリアがなかった事にされるんだよな。」
私は電子ピアノの鍵盤を、ポーンと叩いた。
翌日も、その翌日も。
私は悠真先生のお迎えをすっぽかした。
たまりかねて、悠真先生が家のインターフォンを鳴らす。
「はい。」
お母さんの声がする。
「あの、美玖さん。家に帰っていますか?」
「待って下さいね。」
お母さんが階段を昇る音がする。
それが心臓の音と、重なり合った。