白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―
「美玖。辛かったら、いつでも戻って来ていいんだからな。」

「まだ言ってるの?お父さん。」

どうやら、戻って来いということを、しきりに美玖に言ってるらしいお父さん。

俺は微妙な気持ちになった。

「お父さん。俺、どんな状況になろうとも、美玖さんを返す気はありません。」

「それを決めるのは、俺だから。な。」

「……あっ、はい。」

何で俺、返事してるんだろう。

今日、俺と美玖の結婚式なのに。

結婚式って、永遠を誓う日じゃなかった?

俺はうーんと唸った。

それを見て美玖がクスクスと笑う。

「悠真さん。お父さんは、寂しいだけだから。」

「うん。ならいいんだけど。」

なぜかそれだけではないような気がするのは、なぜ?

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