白衣の下に潜む静かな溺愛 ―命を救う手と音を奏でる指先のあいだで―

第2章 Andante ―鼓動が、恋になる

俺は患者さんのカルテを見て、ため息をつきそうになった。

なぜならそこには、患者の一人が俺の名前を呼びながら、泣いていたと記載されていたからだ。

なぜ泣く?俺が泣かせたように書かれているのは、どうしてなんだ?

「どうしました?渡部先生。」

話しかけてきたのは、同僚の医師・篠田先生だった。

「いや、また患者さんが、泣いていたって書いてありまして。」

篠田先生は、患者の名前を見て納得する。

「気にしない方がいいですよ。看護師はありのままを書いてるだけですから。」

「まあ、そうなんですが。」

立ち上がって廊下に行こうとすると、篠田先生と看護師の石田さんの会話が聞こえてきた。

「また渡部先生を好きになった患者がいるんですか。」

「全く、罪な人ですよ。」

俺が?俺が悪いのか?

聞こえない振りをして、廊下に出る。

すると一人の患者が、俺に近づいてきた。
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