君を守る契約
彼のマンションにつき、荷物を運び込むとあっという間に片付けは終わってしまった。
仏壇をリビングのチェストの上に置いてもいいと言われたが、それは私が丁重に断った。居候の私がそんなことできるわけがない。彼の優しさにこれ以上甘えてはいけない。元々かなり小さかったこともあり、私の部屋に置かせてもらった。持ってこられただけでも彼には感謝の一言しかない。どうしてこんなに彼はいい人なのだろう。
私の部屋のドアをノックする音が聞こえた。

「お腹減らない？　お昼にしないか？　このマンションの下にお店が入ってるからそこに……」

「私が作ってもいいですか？　と言っても簡単なパスタくらいしかできませんが」

「いいのか？」

「でも本当に簡単なものですよ」

そういうと私は部屋を出てキッチンに向かう。うちのキッチンから持ってきたものをゴソゴソ漁り、オリーブオイルとニンニクを取り出す。確かベーコンもあったはず。彼は私のその様子をじっと眺めていた。そのうちハッとして声をかける。

「何かする？」

「えっと、今材料を探しているので鍋にお湯を沸かしてもらえますか？」

「わかった」

彼が引き出しから鍋を取り出すのを見て私はまた自分の荷物を確認する。するとエリンギとトマト缶、パスタも出てきた。他にめぼしいものは見つからず、この材料でありあわせのパスタにすることにした。冷蔵庫を開けるとこの前の玉ねぎやちょっとした野菜も手付かずのままでつい笑ってしまう。
材料を切るとフライパンで炒め始める。その間にもう一つ小鍋に水を入れると別の刻んだ材料を投入しコンソメを入れた。

「こっちぐつぐつ言ってるんだけど」

「はいはい」

そういうと塩を入れたあとパスタを入れた。私の後ろでうろうろしている彼に菜箸を渡し、混ぜるように指示。その間にもフライパンのトマトソースはぐつぐつと出来上がってきていた。7分経つのを見計らって私はパスタをフライパンに入れると混ぜ合わせる。するとタイミングよく彼がお皿を出してくれていた。

「ありがとうございます」

私は彼の分を多めに盛り付ける。そして塩胡椒で味を整えたコンソメスープも一緒に並べた。
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