君を守る契約
「弟さん、いい子だったね」
宗介さんの声にハッとして顔を上げる。彼は穏やかな笑顔を浮かべていた。
「はい。昔から、優しい子なんです」
「うん。君のことを、本当に大事にしてるのが伝わってきた。いつでも一生懸命な琴音を見てたからいい子に育ったんだな」
その言葉に、胸の奥が熱くなる。宗介さんに言われ、私の努力が報われたような気がして、目頭が熱くなってしまった。
こうして並んで座っているのに、触れることもできない私たちの距離感。でも、こうして隣にいる時間が心地よくて、この時間がもう少し続けばいいのに、とほんの少しだけ願ってしまった。
宗介さんがぽつりと呟いた。
「……ありがとう。今日、一緒に来てくれて」
「え?」
「弟さんに会えてよかった。君と家族になれたような気持ちになれた」
本当なら私の方がお礼を言わなければならない。私が幸也に結婚を伝えればいいのに、彼はきちんと私の家族に挨拶をしてくれた。契約なのに私の家族を大切に思ってくれた。彼の態度を見ているとなぜだか胸の奥がじんわりと熱くなって、言葉が出てこなかった。
彼の優しさは、いつも静かに届く。その静けさが、いちばん心に沁みる。
私は俯いて、そっと手のひらを握りしめた。
そこには、あの日から外していない指輪の感触がある。
「……こちらこそ、ありがとうございます」
顔を上げた時、窓の外にはもう夜が始まりかけていた。
東京に戻るころには、街はすっかりクリスマスの灯りに包まれていた。それを見上げながら、私はふと宗介さんの言葉を思い出していた。
「君と家族になれたような気持ちになれた」
あの言葉の余韻が、冬の夜の空気の中で、いつまでも胸の奥に残っていた。
宗介さんの声にハッとして顔を上げる。彼は穏やかな笑顔を浮かべていた。
「はい。昔から、優しい子なんです」
「うん。君のことを、本当に大事にしてるのが伝わってきた。いつでも一生懸命な琴音を見てたからいい子に育ったんだな」
その言葉に、胸の奥が熱くなる。宗介さんに言われ、私の努力が報われたような気がして、目頭が熱くなってしまった。
こうして並んで座っているのに、触れることもできない私たちの距離感。でも、こうして隣にいる時間が心地よくて、この時間がもう少し続けばいいのに、とほんの少しだけ願ってしまった。
宗介さんがぽつりと呟いた。
「……ありがとう。今日、一緒に来てくれて」
「え?」
「弟さんに会えてよかった。君と家族になれたような気持ちになれた」
本当なら私の方がお礼を言わなければならない。私が幸也に結婚を伝えればいいのに、彼はきちんと私の家族に挨拶をしてくれた。契約なのに私の家族を大切に思ってくれた。彼の態度を見ているとなぜだか胸の奥がじんわりと熱くなって、言葉が出てこなかった。
彼の優しさは、いつも静かに届く。その静けさが、いちばん心に沁みる。
私は俯いて、そっと手のひらを握りしめた。
そこには、あの日から外していない指輪の感触がある。
「……こちらこそ、ありがとうございます」
顔を上げた時、窓の外にはもう夜が始まりかけていた。
東京に戻るころには、街はすっかりクリスマスの灯りに包まれていた。それを見上げながら、私はふと宗介さんの言葉を思い出していた。
「君と家族になれたような気持ちになれた」
あの言葉の余韻が、冬の夜の空気の中で、いつまでも胸の奥に残っていた。