不完全な私を愛してくれたのは、年上の彼でした
「お待たせ」
「ううん。希に会えて嬉しいよ」
悠大さんが、私の頬にそっとキスをした。
「今日も素敵だね」
頬が、一気に熱くなる。
恋人になって3ヶ月経っても、まだこんなに恥ずかしい。
私たちは、いつもの窓際の席に座る。
悠大さんが、テーブルの下で私の手を握ってくれた。
「希。昇進、おめでとう」
「ありがとう」
「これから、もっと忙しくなるね」
「そうね、でも……」
私は悠大さんの手を、ぎゅっと握り返す。
「あなたとの時間も、絶対に大切にする」
悠大さんが、愛おしそうに微笑んだ。
「僕もだよ」
コーヒーが運ばれてくる。
「ねえ。希の癖、知ってる?」
「癖?」
「うん。考え事をしてる時、唇を軽く噛むんだ。可愛いなって、いつも思ってる」
「うそ! 悠大さん、そんなの見てたの?」
「そりゃあ、見ちゃうよ」
悠大さんが少し照れたように笑う。
「好きな子のことは、全部知りたくなるんだ」
「もう……悠大さんったら、恥ずかしい」
私は頬を染めながら、コーヒーカップで顔を隠した。
「そういえば」
私は、バッグから自分のスマホを取り出した。
スマホの画面には、あの日のヒビがそのまま残っている。
「このスマホ……結局、修理しなかったな」
私が呟くと、悠大さんが驚いた顔をした。
「どうして?」