用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
「申し訳ございませんでした……」
馬車に乗ってしばらく走った後、エレインはどうにか声を絞り出した。
アランにこれ以上迷惑を掛けたくなくて、一人でダミアンと話をさせてくれと頼んだのに、大事になって結局迷惑をかけてしまった。
しかも、危うく国同士がからむ一大事にまで発展するところだったのだ。
(どうしてこう、上手くできないのかしら)
自分の不出来さに、涙が滲みそうになるのをぐっと歯を食いしばって堪えた。
「エレインが謝ることじゃない。怖かっただろう」
隣に座るアランが、そっと手を重ねる。
エレインが震えていることに気付いたのだろう、アランの気遣いが今ばかりはありがたかった。
しばらくして、馬車が停まる。
ハーブ園に到着したようだった。
エレインは息を深く吐いて呼吸を整えた。
「どうする、今日はもう帰ろうか」
「いえ、私は大丈夫なので、ハーブ園に行かせてください」
「わかった。だけど、くれぐれも」
「無理はしません」
先回りしてエレインが答えると、アランは眉を上げて意外そうな顔をした後に、破顔した。
「よろしい。じゃぁ、行こうか」
「はい」
一週間ぶりのハーブ園は、特に問題もなく育成も良好過ぎるほどに順調だと農夫から報告を受けた。
それでもやはり、後から植えた分は収穫できるまでにはまだ時間がかかりそうだった。
(倒れなければ今頃出荷できていたのに……)
己の体力のなさが悔やまれる。
エレインたちは、中でも一番育成が遅い一角まで来ると、そこで立ち止まる。
少し心配そうなアランに頷いてから、エレインは両手を広げた。
(ふわふわさん、お願い。)
心の中で精霊たちに呼びかける。
すると、それまでまばらに辺りを漂っていた光が集まり、輝きを増しながらハーブへと舞い降りていく。
それはあっという間の出来事だけれども、何度見ても美しく心が洗われる心地になるのがエレインは好きだった。
(今日は一段と光が強かった気がするけど……)
でもそれも「なんとなく」の範疇でいつもと変わらない、はずだった――