用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
 気付けば、エレインのことばかり考えている自分がいる。
 育った環境のせいで、自分に自信がない彼女は、人の役に立つことで生きる意味を見出していた。そしてそれを、浅ましいことだと自分を責めるエレインを見たとき、アランは胸が押しつぶされる思いがした。
(自分なら、こんな思いをさせないのに)
 彼女を幸せにしたい。
 笑った顔が見たい。
 生きる意味など探さなくていいのだと、生きているだけで素晴らしいのだと、心の底からそう思えるようになって欲しい。
(そのためなら、なんだってできる)
 だから、今はエレインがやりたいことを全力で支援している。
 本当は、力を使いすぎやしないか、心配で仕方がないけれど。
 彼女の思いは尊重してあげたい。それが今の自分にできる最善だった。
 中庭に近づくにつれて、気が急いて歩く速度が増していく。ガゼボに彼女の姿を見つけたときには、半ば駆けていた。
 しかし、彼女に会えるという喜びが一瞬で消し飛ぶ。
 彼女の体が傾いたと思ったら、視界から姿が消えたのだ。
 心臓が縮み上がって、喉がひゅっと音を立てた。
「エレインさま!」
 ニコルの焦った声がこっちにまで届く。
 その声音から、良くないことが起きたことだけは理解できて、アランは走っていた。
「下がれ! 誰も彼女に触れるな! 今すぐ医者を呼べ!」
 早口に指示を出し、エレインの側にいた侍女とニコルをどかす。
「大丈夫か、エレイン、……エレイン……!」
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