用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
*
「――すまない、指輪は取り戻せなかった」
夕飯を終え、後は寝るだけといった時間にようやく現れたアランは、開口一番そう言ってエレインに頭を下げた。
「いいのです。それよりも、アンは」
ずっと気になっていたことを聞いたのに、アランは「きみは本当に……」と呆れ半分に言われてしまう。
「アンは無事だよ」
着席を促して、エレインはアランから一連の経緯を聞いた。
「毒は、致死性の高いものだった」
しかし、駆け付けた兵に保護されたアンとその家族の話によると、彼らはそれが死ぬような毒だとは知らされず、飲むと意識を失うだけだからその間に指輪を奪ってくるだけでいい」と犯人に言われたらしい。
「彼らの話を鵜呑みにするならば、だが」
「いいえ、きっと本当です。私が異変に気付いたのは、精霊たちの様子がおかしかったのもありますが、アンのお茶を入れる手が震えていたからです。指輪を取るときも、彼女は謝罪を口にしながら泣いていました」
そう、エレインが毒に気付けたのは、精霊たちのおかげだった。
お茶とニコルの周囲を、せわしなく飛び交う精霊たちの、いつもとは違う雰囲気に異変を察した。
ニコルを注意深く見ていたら、なぜか茶を注ぐ手が震えているではないか。
(家族を人質に取られた挙句、私に毒を飲ませなければならなかったなんて、さぞ怖かったでしょうに……)
彼女の気持ちを考えると、犯人に対して怒りが湧いてくる。
自分が危険にさらされたのはもちろん腹立たしいが、それよりも無関係な人を利用するどころか危害を加えたことが許せなかった。
「犯人の後を追いかけたが、ヘルナミス国に入った後に見失ったとのことだった」
撒かれたところを見ると、金で雇われたその手の者か、かなりの手練れだろう、とアランは苦渋の表情を浮かべた。
「どうしてエレインが狙われたのか……」
「指輪が目的だったという可能性はありませんか?」
もし、ヴィタ国や精霊について知っている人が、エレインの指輪を見たら……と可能性を口にするが、アランは首を横に振った。
「俺もその可能性を考えなかったわけじゃないが……。アンの話では、殺害した証拠としてエレインがいつも身に着けている形見の指輪を、と命じられたらしい」
「――すまない、指輪は取り戻せなかった」
夕飯を終え、後は寝るだけといった時間にようやく現れたアランは、開口一番そう言ってエレインに頭を下げた。
「いいのです。それよりも、アンは」
ずっと気になっていたことを聞いたのに、アランは「きみは本当に……」と呆れ半分に言われてしまう。
「アンは無事だよ」
着席を促して、エレインはアランから一連の経緯を聞いた。
「毒は、致死性の高いものだった」
しかし、駆け付けた兵に保護されたアンとその家族の話によると、彼らはそれが死ぬような毒だとは知らされず、飲むと意識を失うだけだからその間に指輪を奪ってくるだけでいい」と犯人に言われたらしい。
「彼らの話を鵜呑みにするならば、だが」
「いいえ、きっと本当です。私が異変に気付いたのは、精霊たちの様子がおかしかったのもありますが、アンのお茶を入れる手が震えていたからです。指輪を取るときも、彼女は謝罪を口にしながら泣いていました」
そう、エレインが毒に気付けたのは、精霊たちのおかげだった。
お茶とニコルの周囲を、せわしなく飛び交う精霊たちの、いつもとは違う雰囲気に異変を察した。
ニコルを注意深く見ていたら、なぜか茶を注ぐ手が震えているではないか。
(家族を人質に取られた挙句、私に毒を飲ませなければならなかったなんて、さぞ怖かったでしょうに……)
彼女の気持ちを考えると、犯人に対して怒りが湧いてくる。
自分が危険にさらされたのはもちろん腹立たしいが、それよりも無関係な人を利用するどころか危害を加えたことが許せなかった。
「犯人の後を追いかけたが、ヘルナミス国に入った後に見失ったとのことだった」
撒かれたところを見ると、金で雇われたその手の者か、かなりの手練れだろう、とアランは苦渋の表情を浮かべた。
「どうしてエレインが狙われたのか……」
「指輪が目的だったという可能性はありませんか?」
もし、ヴィタ国や精霊について知っている人が、エレインの指輪を見たら……と可能性を口にするが、アランは首を横に振った。
「俺もその可能性を考えなかったわけじゃないが……。アンの話では、殺害した証拠としてエレインがいつも身に着けている形見の指輪を、と命じられたらしい」