用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
「娘の不敬をお許しくださるとは、なんと懐の深いお方でしょうか! しかしそれでは体裁が保てない故、わたくしめからのせめてもの償いとして、我が娘・エレインを勘当いたします! エレイン、今後一切我が領地をまたぐことは許さんぞ!」
 立ち上がりエレインの方を振り向いた父は、鬼の形相でそう叫んだ。憎しみと怒りに満ちた目がエレインを射抜く。
(お父さまは、このときを待っていたのですね)
 娘を堂々と追放できるときを。
「――しばし待たれよ」
 その場を割るような、厳格な声が響く。
 ダミアンの父である国王陛下が、王座から見下ろしていた。
「ダミアンよ、お前が責任者となりフォントネルと共同で行っているハーブ事業は、エレインがいなくとも問題ないのだろうな」
「はい、それはもちろんです。事業は今軌道に乗っており、生産もすべて手順書に書き起こしてあり、それ通り行えば問題ございません。栽培に詳しい代わりの者も手配済みです。よって、エレインは用済みのため、私の(・・)事業から手を引いてもらいます」
 そんな話は初耳だった。
 ハーブはエレインの精霊の力によって栽培できているため、エレインを外してしまえばいくら手順書通りに栽培したとしても瞬く間に枯れてしまうだろう。
 それを知らないとはいえ、こうも簡単に事業の中核を担うエレインを外す算段を付けて代わりの者まで用意していたとは開いた口がふさがらない。
私の(・・)事業、ね……。私はもう婚約者としてだけでなく、ハーブ事業の方でも用済みってことなのね)
「そうか。――エレイン、なにか言い残したことはあるか?」
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