用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
「ありがとう、エレイン。今日はそのことで、きみに話があったんだ。きみのハーブは、それはもう睡眠にはてき面に効果があったよ。だけど薬が切れた後、自国のハーブできみのブレンド通りに作ったものに変えたら、効果が明らかに半減したんだ」
「そうでしたか……」
 かなり深刻そうな症状だったから、ハーブが効いてよかったと思う半面、継続して薬を提供できない申し訳なさにエレインは俯く。
「それで、今日はきみに会えるのを楽しみにパーティーに出席したんだけど……、まさかあんな事態になって驚いた」
 あんな事態が婚約破棄のことを指しているのは明らかで、エレインは苦笑する。大勢の前で用済みの烙印を刻まれた姿は、王子の目にもさぞ滑稽に映っただろう。
「私が至らないばかりに……、お恥ずかしい限りです」
「私は内情を知らないけど、あの場で見ていた限り、心無い行動を取ったのは王室側だったし、王太子がきみではなくきみの妹君と揃いのドレスを着ていたのはどう見ても礼儀に反していた。まぁ、これは私の憶測でしかないけれど、パーティーに遅れたのもなにか事情があたのではないかと思っている」
 まさか擁護されるとは思っていなかったエレインは、アランの言葉に驚いて顔を上げた。
 碧い瞳は、穏やかにエレインを見つめている。
 きみは悪くない、と言われたような気がして、胸がすっと軽くなった。
 彼のように分かってくれる人がいるだけで十分だった。
「さぞ辛い思いをしているだろう、と慌てて追いかけたけど、きみが自由になったと喜ぶ姿を見て安心したよ」
「……」
 穴があったら入りたい。
 アランに笑われてしまい、エレインは両手で顔を覆って羞恥に耐える。
「どうか忘れてください」
「いいものが見れた」
「意地悪ですね……」
 手から顔を上げて、目の前の色男を恨めし気に見遣るも、爽やかな笑顔でかわされるだけだった。
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