用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
「行く当てが無いのなら、俺と一緒にカムリセラに来てほしい」
「……はい?」
「今日の王太子のパーティーで公務が終わったから、もう帰国するんだ。だから、きみも一緒に行こう。王室騎士の警護付きだから安全安心だよ。もちろん旅費もいらないし、向こうでの滞在もすべてこちらで用意する」
 エレインは、アランの真意を見逃すまいと、彼の表情を見つめるが、確固たる自信に裏付けされた彼の表情には一つも揺らぎがない。
 ただ、彼の周りには、精霊たちが相変わらず無邪気に飛んでいるので、彼に悪意がないのは一目瞭然だった。
「見返りはなんでしょうか」
 タダほど怖いものはない。
 自分になにを求めているのかを問う。それがわからなければ、返答のしようがない。
「きみには、甥のテオを診てほしい。本当はね、この前貰った薬を継続的に買えるよう、今日改めて王子として(・・・・・)きみにお願いするつもりでいたんだ。でも、それよりももっと確実で効率的な選択肢ができたんだから、俺は全力でそちらを選ぶよ」
 エレインの頭に疑問が浮かぶ。
 アランが求めているのは、薬のはずなのに、彼の口ぶりはまるでエレイン自身を欲しているように感じたから。
 エレインにはもう、フォントネルのハーブは手に入らないというのに、そのことに気付いていないとは到底思えない。
(なら、なぜ……?)
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