用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
あれだけ――というのは、エレインのボストンバッグ一つとフォントネル家の温室から運んでもらったフランキンセンスの鉢植え一つ。
たったそれだけ。
もちろん、父から勘当を言い渡され領地には入るなと言われたので、それらはすべてニコルとアランの部下に手伝ってもらって運んできた。
「もともと、服は数着しか持っていませんし、ハーブもまた一から育てればいいので十分です」
(フランキンセンスは、お母さまがひと際大切に育てていた木だから持ってこれてよかった)
アランはそれを二つ返事で了承したどころか、なんなら温室のハーブを全部運んでもいいなんて言ってのけてエレインを恐縮させた。
エレインのそっけない返答に、アランは「まぁ、必要なものは向こうで揃えればいい話だけど……それにしても少なくない?」と釈然としない様子だった。
「ふふ」
一人でうんうん唸るアランを見て、エレインの口から自然と笑みがこぼれる。
話せば話すほど、アランは魅力的な人物だった。
柔らかな物腰かと思えば、鋭い洞察力で物事の本質を見抜く、王族らしいしたたかさもある一方、家族のために懸命に動く姿は愛情に溢れている。
(私の周りにはいないタイプの人でなんだか新鮮だわ)
「うん、きみはそうして笑っている方がずっと可愛いね」
「かっ……!?」
(可愛いって……)
人から大人びてると言われることはあったが、可愛いなんて言われたことのなかったエレインは驚きと恥ずかしさから顔を赤らめる。
お世辞だとわかっていても、男性からの誉め言葉には慣れない。そもそもこれまで異性との交流もまともになかったのだ。エレインには、それを受け止めたり受け流したりする技術は持ち合わせていない。
年上のアランからすれば、自分のような可愛げのない女でも可愛くみえるものなのかもしれない、と謎の理論に落ち着いた。――のに、
「恥ずかしがる顔はもっと可愛い」
などと恥ずかしい言葉で追い打ちをかけられて、エレインは顔から火が出るかと思った。
「――っ、で、殿下、からかうのはおやめください」
彼のいたずらな視線から逃れたい一心で、エレインは窓の外を見るふりをして車窓のカーテンで顔を隠した。
たったそれだけ。
もちろん、父から勘当を言い渡され領地には入るなと言われたので、それらはすべてニコルとアランの部下に手伝ってもらって運んできた。
「もともと、服は数着しか持っていませんし、ハーブもまた一から育てればいいので十分です」
(フランキンセンスは、お母さまがひと際大切に育てていた木だから持ってこれてよかった)
アランはそれを二つ返事で了承したどころか、なんなら温室のハーブを全部運んでもいいなんて言ってのけてエレインを恐縮させた。
エレインのそっけない返答に、アランは「まぁ、必要なものは向こうで揃えればいい話だけど……それにしても少なくない?」と釈然としない様子だった。
「ふふ」
一人でうんうん唸るアランを見て、エレインの口から自然と笑みがこぼれる。
話せば話すほど、アランは魅力的な人物だった。
柔らかな物腰かと思えば、鋭い洞察力で物事の本質を見抜く、王族らしいしたたかさもある一方、家族のために懸命に動く姿は愛情に溢れている。
(私の周りにはいないタイプの人でなんだか新鮮だわ)
「うん、きみはそうして笑っている方がずっと可愛いね」
「かっ……!?」
(可愛いって……)
人から大人びてると言われることはあったが、可愛いなんて言われたことのなかったエレインは驚きと恥ずかしさから顔を赤らめる。
お世辞だとわかっていても、男性からの誉め言葉には慣れない。そもそもこれまで異性との交流もまともになかったのだ。エレインには、それを受け止めたり受け流したりする技術は持ち合わせていない。
年上のアランからすれば、自分のような可愛げのない女でも可愛くみえるものなのかもしれない、と謎の理論に落ち着いた。――のに、
「恥ずかしがる顔はもっと可愛い」
などと恥ずかしい言葉で追い打ちをかけられて、エレインは顔から火が出るかと思った。
「――っ、で、殿下、からかうのはおやめください」
彼のいたずらな視線から逃れたい一心で、エレインは窓の外を見るふりをして車窓のカーテンで顔を隠した。