用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
 あの日から早くも二週間が過ぎようとしていた。
 テオが歩いた!喋った!と王宮は上を下への大騒ぎとなり、祖父母にあたる国王と王妃も飛んできてその日の夜はちょっとしたパーティーが開かれた。
 国王と王妃も見違えたテオの姿に涙を滲ませて喜んだ。
 そして口々にエレインに感謝の言葉を伝えてくれた。褒美を、と言われたがそれは辞退する。
 対価としてすでに過分な給金をもらっているので、これ以上なにかもらっても困ると訴えたら渋々ながら了承してくれた。
 当のテオは今までの赤ちゃん期などなかったかのように、歩いて移動し、食事も食器を使い、よく動きよく喋り、そしてよく笑うようになった。
 エレインにも以前ほど執着を見せることなく、四六時中一緒にいなくても平気になりつつある。
 夜に飲むハーブシロップも少しずつ量を減らしているが、今のところうなされている様子はない。
 確実に回復に向かっているテオに、エレインは安堵し喜ぶ一方で、寂しさを覚えていた。
 ――契約の終了は、甥の症状が改善され、治療の必要がなくなったら。
 今のまま回復していけば、テオの治療はもう少しで終わる。
(それはテオさまにとって喜ばしいことなのに、寂しいと感じるなんて私はどうかしてる……)
 契約が終われば、エレインはもうこの王宮に住む理由がなくなるから、出ていかなくてはならないだろう。
 薬と化粧水の製造は、通いながらだって十分できることだし、なんならそれだってエレインの力は必要ないかもしれない。
 この国はもともとハーブ栽培が盛んだから、エレインがハーブに力をかけなくても製造方法とブレンドレシピさえ守れば効果は十分期待できるだろう。
 もしそうなれば、もう王宮に出入りする必要もなくなり、テオともアランとももう会う機会はなくなってしまう。
(もう、会えなくなる……?)
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