用済みだと捨てたのはあなたです、どうかおかまいなく~隣国で王子たちに愛されて私は幸せです~
 当初、父と義母はエレインではなくシェリーを推したらしいが、シェリーの母親が男爵家の出だという理由から却下され、義母たちは憤慨している。
 エレインの母が由緒ある侯爵家だったことも加味されているらしい。
 さらに、フォントネルのハーブの大量生産を狙うべく、王室との共同で事業拡大が進んでいる。その責任者としてダミアンが据え置かれているが、ただのお飾りに過ぎず、これまたすべての指示系統はエレインが担っていた。
 にも関わらず、事業の成果は表向き王太子の功績として広く知られている。
 ハーブ園の事業化から一年、王太子の婚約者になって半年。怒涛の展開だった。

 目の前のティーカップに侍女が紅茶を注いでくれるのを待って、エレインはカップを口に運んだ。
 このお茶会は、婚約者となった二人の交流を深めることを目的に、月に二度開催されている。
 お茶会の出席者は婚約者となった二人のはずなのに、開催二回目に「姉の忘れ物を届けにきた」とシェリーがお茶会の席に現れて以来、ダミアンが同席を許するようになったのだった。シェリーの愛らしさにでも惹かれたのだろう、ダミアンはシェリーをいつも自分の隣に座らせている。
 毎回ダミアンとシェリーの二人だけで会話は進み、エレインは傍らでひたすらお茶をすするだけ。なんの生産性もないこの時間が、エレインにとっては苦痛で仕方なかった。
< 9 / 150 >

この作品をシェア

pagetop