ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
24.嵐の前夜
宰相執務室の扉を叩くと、すぐに「入れ」と声が返ってきた。
広々とした執務室。重厚な執務机を挟んでセドリックとライナスが向かい合っている。
いつもの冷静さを湛えた顔。
けれど、張りつめた糸のような空気が部屋全体を包み込んでいた。
「来たか」
セドリックが顔を上げてアリアへと視線を向ける。その目はいつも以上に感情を押し殺しているように見えた。
(……何かあったんだ)
アリアは直感的に悟った。
今日はいつもの日次報告じゃない。これまでとは違う大きな問題に触れるのだと。
セドリックが報告書の一枚を抜き出すと、執務机に広げる。
そしてある一ヵ所を指先で押さえながらライナスへ視線だけで促すと、彼は静かに頷いた。
「調査の結果――あの硬貨に刻まれていた紋章は、かつて存在した『ルガード公爵家』の家紋だと判明しました」
執務室に、静寂が落ちた。
「……ルガード……公爵家……?」
アリアは思わず、口の中でその名を繰り返していた。
唇の上に乗ったその音が耳に届くなり、胸の奥がかすかにざわめく。
「五十年前、王政への反逆行為で取り潰された家だ。公爵の称号は剥奪され、現在では王国の記録上からも抹消されていた」
広々とした執務室。重厚な執務机を挟んでセドリックとライナスが向かい合っている。
いつもの冷静さを湛えた顔。
けれど、張りつめた糸のような空気が部屋全体を包み込んでいた。
「来たか」
セドリックが顔を上げてアリアへと視線を向ける。その目はいつも以上に感情を押し殺しているように見えた。
(……何かあったんだ)
アリアは直感的に悟った。
今日はいつもの日次報告じゃない。これまでとは違う大きな問題に触れるのだと。
セドリックが報告書の一枚を抜き出すと、執務机に広げる。
そしてある一ヵ所を指先で押さえながらライナスへ視線だけで促すと、彼は静かに頷いた。
「調査の結果――あの硬貨に刻まれていた紋章は、かつて存在した『ルガード公爵家』の家紋だと判明しました」
執務室に、静寂が落ちた。
「……ルガード……公爵家……?」
アリアは思わず、口の中でその名を繰り返していた。
唇の上に乗ったその音が耳に届くなり、胸の奥がかすかにざわめく。
「五十年前、王政への反逆行為で取り潰された家だ。公爵の称号は剥奪され、現在では王国の記録上からも抹消されていた」