ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
 セドリックの言葉にアリアは息をのんだ。
 取り潰し――それは王政下における最も重い断罪の一つ。

 家そのものが歴史から消される。それは、存在していた証さえ奪われるということ。

(……なぜ今になってその紋章が……?)

 アリアはもう一度、書類に記された紋章を見つめる。

(どこかで、見たことがあるような気がするのに…)

 記憶の奥底で、それがいつ、どんな場面だったのか。
 その答えだけがまだ見つからない。

「偽造通貨をばらまくメリットは四つ考えられる。何だと思う?」

 不意に投げかけられた問いに、アリアは瞬きした。

(メリット…?)

「……えっと、偽造通貨を使ってお金を儲けることですか…?」

「その通りだ。最も単純な動機は金銭的利益を得る。偽造通貨を十分の一のコストで作れば、残りの九割は丸ごと儲けになるわけだ」

「でも……それなら……」

「そう。それならもっと雑に作るはずだ」

 セドリックの口元がかすかに動いて、手元の資料をアリアに見せる。
 それは極秘に分析を依頼した結果だった。

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