ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
 そうして執務室を後にしたアリアの背を、セドリックはしばらく見送っていた。
 扉が閉まった音が静かに響くと、セドリックは視線を横に流す。

「ところで、ライナス。視察前に頼んでいた件は?」

「はい。取り急ぎ調べた限りの情報をこちらに」

 ライナスは、そっと手にしていたもう一冊の薄いファイルを差し出す。それは、王宮内の()()()()()について記された調査書報告書だった。

「……なるほどな」

 セドリックはある項目を指でなぞりながら小さく呟くと、その目が鋭さを増した。


 * * *


 一方、夜の回廊を足早に歩きながらアリアはふと足を止めた。

(明日は地下書庫でルガード家について調査する。何が見つかるか分からない。でも、私……)

 何が起ころうとしているのか、自分も知りたい。
 知って、守りたい。

 そのために、明日自分も一歩踏み込むのだ。

「セドリック様がいるから、大丈夫」

 自分に言い聞かせるように言葉にすると、アリアはまた歩き出した。


 この時のアリアは、まだ知らなかった。
 明日の調査が、王都を揺るがす大事件の引き金になることも。

 そして、かけがえのない人たちの運命を、大きく狂わせることになるということも。



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