ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
25.急転直下
 王宮文官棟の地下。
 静まり返った石造りの廊下を、アリアはセドリックのすぐ後ろに付き従って歩いていた。革靴の音が乾いた床に響くたびに緊張が高まっていく。

 行き先は地下書庫のさらに奥にある記録保全区画。王宮内で最も機密性の高い文書が集められた場所だ。その鉄扉の前で、セドリックが守衛に身分証を差し出す。

「先代王政期の税制に関する通達記録を閲覧したいんだが」

「税制の記録、ですか?」

 鉄扉の前で守衛が顔を上げる。

「あぁ。先日の南市街への視察を踏まえ、過去の物流と関税の推移についての確認がしたい」

「なるほどかしこまりました、どうぞお入りください」

 セドリックの声は落ち着いていた。あくまで経済視察の延長線上であるという理由に、守衛たちは疑うことなく先へと通してくれた。

 重厚な扉が開かれると、空気は一変する。
 ひんやりとした石壁、重たく積まれた帳簿、湿気を帯びた紙の匂い。

「すごい量ですね…」

「かなり古いものも保管されているからな。でも年代別に当たっていけば見つかるはずだ」

 その一角でアリアとセドリックは、数十年前の公文書を一枚一枚丁寧にめくっていく。
 どのくらい時間が経ったか時間の感覚が曖昧になりかけたころ、傍らのセドリックの手がぴたりと止まった。

「……あった」

「本当ですか…!?」

 アリアが覗き込むと、セドリックが手にした文書の見出しにあの名前があった。

 《ルガード公爵家に対する査察報告書/第0410群》

 紙面は薄い茶色に変色して、縁は少し破れかけている。

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