ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
* * *
夜の王宮は、昼間とはまるで違う顔を見せていた。
賑やかなざわめきも眩い装飾も影を潜め、長い回廊にぽつりぽつりと灯るのは、等間隔に並ぶ燭台の炎だけ。
足音が一つ響くだけで、異様に大きく感じる。まるで王宮全体が彼女の動向を窺っているかのようで、嫌でも緊張が強まっていく。
それでもアリアは小さく息を吸い込んで、しっかりと足を踏み出した。
(……大丈夫、ロレッタが時間を稼いでくれている。その間に私は――)
会いに行くべき人がいる。
いまこの八方塞がりの中で、唯一信じられる人。
脳裏に焼きつけた地図をたどりながら、アリアは誰もいない廊下を足早に進む。
文官棟の裏手、古い回廊を抜けてさらに奥へと進んだ先に、昔使われていた食糧庫があった。今は手狭になって別の場所に大きな倉庫が作られたため、ここは使用されていない。
(……ほんとに、こんなところに人なんて……)
不安と緊張が入り混じったまま、アリアは扉の前で立ち止まった。
そして――軽くノックする。
すると、中から「鍵を」という声がした。
アリアは封筒に入っていた鍵を差し込むと、静かに軋むような音を立てて扉がわずかに開いた。
「お疲れ様。よく来ましたね、アリア嬢」
中から現れたのは、淡い灯りを背にした長身の人影。
その優しげな声に思わず目を見開く。
夜の王宮は、昼間とはまるで違う顔を見せていた。
賑やかなざわめきも眩い装飾も影を潜め、長い回廊にぽつりぽつりと灯るのは、等間隔に並ぶ燭台の炎だけ。
足音が一つ響くだけで、異様に大きく感じる。まるで王宮全体が彼女の動向を窺っているかのようで、嫌でも緊張が強まっていく。
それでもアリアは小さく息を吸い込んで、しっかりと足を踏み出した。
(……大丈夫、ロレッタが時間を稼いでくれている。その間に私は――)
会いに行くべき人がいる。
いまこの八方塞がりの中で、唯一信じられる人。
脳裏に焼きつけた地図をたどりながら、アリアは誰もいない廊下を足早に進む。
文官棟の裏手、古い回廊を抜けてさらに奥へと進んだ先に、昔使われていた食糧庫があった。今は手狭になって別の場所に大きな倉庫が作られたため、ここは使用されていない。
(……ほんとに、こんなところに人なんて……)
不安と緊張が入り混じったまま、アリアは扉の前で立ち止まった。
そして――軽くノックする。
すると、中から「鍵を」という声がした。
アリアは封筒に入っていた鍵を差し込むと、静かに軋むような音を立てて扉がわずかに開いた。
「お疲れ様。よく来ましたね、アリア嬢」
中から現れたのは、淡い灯りを背にした長身の人影。
その優しげな声に思わず目を見開く。