ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
(あれ?今までメッセージカードなんて添えられていたっけ…?)

 でもこれで贈り主が突き止めることができれば儲けものだ。アリアは不思議に思いつつも、床に落ちたカードを拾い上げる。

 華やかな金の縁取りに、細やかな紋章が刻印されたカード。
 そこにはひとこと『エレナ・クラヴィス嬢へ』としか書かれていなかった。

「これ、何の紋章だろう…?」

 アリアは眉をひそめた。

 見覚えがあるような気はする。
 間違いなく、どこかでこの紋章を見たことがある。

(でもどこで……?何度目のループで、どんな場面だった…?)

 目を凝らしても、記憶の糸は霞のようにほどけてしまう。
 頭の奥に何かが引っかかっている感覚はあるのに。

「だめだ、思い出せない…」

 そのときだった。

「アリア、いるかしらー?」

 窓の向こう、中庭からエレナの声が響いた。

「殿下が!いま、お茶をこぼされてしまって――」

(えぇっ!?殿下ってば意外とおっちょこちょい!?それも尊い……けど一大事!!)

 一気に現実に引き戻されて、アリアは急いでブローチを箱に戻す。箱ごとエプロンのポケットに押し込みながら、大急ぎで部屋を飛び出した。

「はい、ただいま向かいます!!」

(いったん置いておこう。まずはブローチの件を報告して、後でちゃんと調べればいいんだから!)

 まずは今起きている推しカプの尊き危機を救うために、アリアは全力疾走で中庭へと駆けていった。


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