ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
「ありがとうございます。それではこちらでお預かりいたしますね!」

「えっ?でも、これらはすべてエレナ様に(じか)にと――」

「いえ!エレナ様もたくさんの贈り物が届いている状況で大変そうでして…まずは私が中を改めさせていただきますので」

 にっこりと笑顔で押し切る。
 宮務官がさらに言い連ねようとするのを、さらりとかわして扉を閉めた。

(さてと…)

 アリアは即座に表情を引き締める。

 慎重に包装とリボンを解いて、ビロードの小箱を開ける。
 中には、繊細な装飾の中心に深紅色の宝石が埋め込まれた美しいブローチ。

 ぱっと見はただの高級品にしか見えないけれど、アリアは知っている。
 石の裏に仕込まれた微細な毒針の存在を。

 アリアはエプロンのポケットに手を入れて、ピンセットを取り出す。ほつれ直し用にと常に忍ばせているものだ。

(確かこの石の裏側にあったのよね……)

 ピンセットの先で裏面の金具をそっと押さえ、宝石を留めている溝のさらに奥を探る。針のように細く鋭い異物が、光を受けてほんの一瞬だけぎらりと光った。

(はい、これですこれです!この角度にこの細工!)
 
 指先が触れた瞬間、仕掛けが発動して毒を送り込む極小の毒針。
 アリアはピンセットで仕掛けの根元を押さえ込み、力を込めて針を折った。その針を慎重にピンセットで摘まみ、ハンカチの間に挟む。
 あとはこれを報告すれば、ミッション完了である。

「よし、これでもう一つのフラグも回収完了だわ」

 アリアは思わず声に出してガッツポーズをする。
 そのとき、小箱の内側に入っていた小さなカードがひらりと床に落ちた。

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