ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
 アリアの繰り返してきた過去が思い出される。エレナの死と王政の崩壊を止められなかった自分。ユーリの一つ一つの言葉が、アリアの傷を的確に抉った。
 肩を震わせるアリアを見下ろしながら、ユーリはアリアの耳元へ顔を寄せる。

「もし今言った通りに証言するなら、グレイヴナー宰相だけは助けてあげてもいい」

 それは、とびきり甘やかすような声だった。
 アリアの目が大きく揺れる。

「君はどっちを取る?何度もループして仕えてきたクラヴィス嬢?それとも、愛しのグレイヴナー閣下?」

 すっと伸ばされた指が、銀の髪飾りを掠めるようになぞった。

(……そんなの選べるわけがない…)

 二人とも大切な人だ。エレナも、セドリックも、どちらも失いたくはない。
 心臓が激しく脈打ち、足元が崩れ落ちそうだった。

 そのとき、廊下の奥からコツコツと足音が響いてきた。
 誰かがこの倉庫へと近づいてくる。

「じゃあ、明日の審問会……楽しみにしてるから」

 ユーリはちらりと肩越しに視線をやり、再びアリアへと微笑んだ。

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