ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
「だって、殿下はいつも国を守るためにお力を尽くしているでしょう?私もお傍にいるなら、せめて一撃くらいは受け止められるようにって……」

「そ、それは尊いお気持ちではありますが、エレナ様が自らそのようなことをなさらなくても!!」

「そうかしら…?」

「そのために王宮騎士団がおりますので!もう、ぜひともお任せください!!」

 拝み倒したいほどの気高さを見せたかと思えば、こんなふうに常識を斜め上に飛び越えてくる。でもその根底にある『誰かのために役に立ちたい』という気持ちは、どこまでも純粋でまっすぐで。

 この推しの幸せのためなら何度だってループできる。
 今度こそ、この手で守りきってみせる。

「エレナ様……本日も最高に尊いです……」

「えっ?」

「いえ、なんでもありません!あっ、お茶のおかわりはいかがですか?」

 思わず本音が漏れそうになったのを慌てて飲み込んだそのとき──

「アリア・セルフィア。第一宰相のセドリック・グレイヴナー様がお呼びですよ」

「…………はい?」

 振り向くと、文官棟担当の従者がいた。
 さっきまでほっこりとした空気に包まれていたのに、一気に現実へ引き戻されたような感覚。

「宰相様が?もしかしてお友達なの?」

 きょとんとした顔で尋ねるエレナに、アリアは即座に両手をぶんぶんと横に振った。

「違いますっ、断じて違います!お友達とかそんな不敬なっ!」

 とにかく全力で否定する。

 回廊で尋問されたあの日以来、なるべくセドリックには鉢合わせしたりしないように気を使っていた。特に執務室付近には近づかないように、移動ルートや時間を調整して行動していたのに。

 宰相からの呼び出しとあっては、拒否できるわけもない。

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