ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
(メイドが上級閣僚の命令に背くなんて…王宮追放ならまだマシ、もしかしたら反逆罪で投獄されるかもしれないレベルの不敬よね…)

 そのことを見透かされているような予感がしてぞわっとする。

「申し訳ございませんエレナ様。それでは少し行ってまいりますね」

 エレナに一礼をして部屋を出ようとしたとき、アリアはあることを思い出した。
 頭の中にくっきりとよみがえってくる一つの記憶。

(そうだ…あれがそろそろ届くころのはず!)

 あれは三度目のループのとき。
 差出人は殿()()()()として侍従経由で届いた手紙だった。

 のちにエレナが『この手紙が元で殿下の命を狙った』と断罪されるに至るきっかけとなった手紙。

 その内容は、
『婚約発表後の過剰な注目は避けたいので、今後は節度ある距離を保つように。しばらくは直接会うのは控えて手紙でのやりとりのみにしたい』
 という、まるで殿下から距離を置かれるような文面。

 殿下がエレナに好意を寄せているのは明らかだったし、殿下がこんな回りくどい言葉とやり方で拒絶を示すような人ではない。何者かがミカエル殿下の名を騙って送ったのだ。

 けれど、この手紙を読んだエレナはこの内容を『殿下からの言葉』と受け止めてしまった。
 この一通がきっかけで婚約そのものに不安が生まれ、顔を合わせない二人には不仲の噂が広がっていき、殿下自身もエレナの態度を誤解してしまう。

(結局三回目のループでは、途中からすれ違いルート一直線になっちゃったんだよね…)

 最後はエレナが殿下を逆恨みして命を狙った、とでっち上げられて断罪されてしまった。

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