ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
 * * *


 まぶしい光が差し込んだ窓辺。
 遠くから温かな朝の気配と、小鳥のさえずりが聞こえる。

「……っ、ここは……っ!」

 目を覚ましたアリアは、思わず飛び起きた。

 懐かしい王宮内の使用人部屋。
 寝心地のいいベッドに、壁にかけられた制服と白いエプロン。

(どれも見覚えのあるものばかり……ということは…!)

 アリアは急いでベッドから降りると、壁際の机へと向かう。
 そこに置かれていたのは、王家の印で封蝋が施された封筒だった。

 中を開けると、淡い羊皮紙が一枚。
 本日付でエレナ・クラヴィス公爵令嬢の部屋付きとなるよう命じられた、任命書だった。

「また……戻ってこられた……!」

 アリアは任命書を握ると、目頭を熱くしながら深呼吸をした。

 過去四回とも、エレナ嬢が王宮入りされる日がループの起点だった。

「大丈夫。今度こそ……!」

 アリアはエレナを心から慕っていた。
 優しく聡明で、それでいて純粋で少し天然なところにいつも励まされていた。

 そして殿下もまたエレナを想っていることを、そばでずっと見守ってきたアリアは誰より知っている。

 本当なら、必ず幸せになれるはずの二人なのだ。


(今度こそ、お二人には幸せになってもらいたい!そして私はその尊さをそばで見守りたい……!!)


 王宮内外に、二人の婚姻を阻止したい勢力がいることは分かっている。
 どこでどういう罠が仕掛けられるか、過去にループしたときの記憶もちゃんと蓄積されて残っている。

「こうしちゃいられない!早く準備しないと…!」

 今度こそ王宮で最推しの――推しカプのハッピーエンドを見届けるために。


 アリア・セルフィア。
 五回目のループ人生の幕開けである。



 もっとも、このときの彼女はまだ気づいていなかった。

 今回のループが、これまでと様子が違うことに。

 そして、まだ見ぬ()()()()()()が、とんでもなくめんどくさい方向から絡んでくることなど、知る由もなかった。

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