ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
 一転して、ライナスからの援護射撃。自分のことなのに何だか少しくすぐったい気持ちになる。

 「つまり、すべてを語ってはいないが悪意ある嘘ではない、というわけか」

 「……はい、そうです……!」

 真正面から見据えられて、アリアは頷く。
 その瞬間、セドリックの蒼玉色の瞳がふっと細められた。

 「……今日はここまでにしておこう」

 「えっ……?」

 ぽかんとしているアリアに、セドリックは席を立ちながらさらりと続ける。

 「明日からも、また詳細な観察報告を期待している」

 「…えっ…あ、はい……!」

 思わずほっと胸を撫で下ろしかけた、その矢先。

 「ああ、そうだ」

 セドリックがわざとらしく思い出したように振り返った。

 「今日の件は覚えておくからな」

 「へ……?」

 不意に落とされたセドリックの一言に、アリアはきょとんと目を瞬かせた。

 「初日からの報告すっぽかしはそれなりに価値がある。今後君が何かを断りたくなったとき交渉材料として使えるから」

 「えっ!?それって……もしかして脅し……っ!?」

 「さぁ、どうとってもらっても構わない」

 (やばい……なんか話が変な方向に転がってる気がする……!)

 そんな様子を見つめながら、アリアの頬がじわじわと引きつっていく。

 「言っておくが、俺は記憶力には自信がある」

 「……それってつまり、一生言われ続けるってことですよね!?」

 「よく分かってるじゃないか」

 (どこまでも容赦ない〜〜〜!!)

 天を仰いで崩れ落ちそうになるアリアを、ライナスは憐れむようなまなざしで見つめていた。

 ちらりとセドリックを見ればすでに仕事モードで、アリアの姿など視界に入っていないかのようにペンを走らせている。

 でもライナスは気づいていた。

 その口元が、どこか楽しそうに笑みを浮かべていることに。

 (……さて、これからどうなることやら)

 片眼鏡を指で押し上げながら、ライナスは小さく息をついた。

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