ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
(やれやれ。嫉妬して苛立ってるだけじゃないですか、閣下……)

 執務室の窓から見えていた、アリアとユーリの仲睦まじそうな様子。
 それを目にしたセドリックの表情とその後の行動を思い返して、ライナスは心の中で嘆息する。

 ――あれはどう見ても、嫉妬する男の顔と行動だった。

(まったく不器用にもほどがある……)

 これでもいまだに自分の好意には無自覚なのだから、世話が焼けることこの上ない。アリアも面倒くさい男に好かれてしまったものだと、ライナスは同情する。

(お互いに早く気づいていただけると、こちらの胃が助かるんですけれどね…)

 そう思いながら、いつもの明るい推しカプ報告に戻った空間を見つめて薄く微笑む。

 「ライナス」

 そのとき、セドリックの声がして顔を上げる。

「はい、何でしょうか?」

アリアが推し語りをしている横で、セドリックは二つ折りにしたメモをライナスに差し出した。
それを開いて、ライナスは眉を寄せる。

「……本気でおっしゃってるんですか?」

「もちろん」

「業務に私情を挟むのはいかがかと」

「挟んでなどいない。業務の一環だ」

しれっとさも当然のように答えたセドリックは「一週間以内にな」と付け足すと、再びアリアのほうへ向き直ってしまった。

(……まったく困ったものですね)

自分はセドリックに仕える筆頭秘書官だ。ノーを言うことはできない。

ライナスは嘆息しながらも、手の中のメモを折りたたんでそっとポケットにしまい込んだ。



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